銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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真田丸の停滞、あるいは再生、そして美術界

   

真田丸。

しかし最近は、やや停滞してきた。前半は、真田が、並み居る徳川や北条などの列強と、時に結び時に裏切り、巧妙に戦国を生き延びていく智謀に心躍らせるものがあったが、秀吉が主人公となった近頃は、ひたすらに秀吉の意向を慮る周囲の右往左往ぶりばかりが描かれており、やや物語が淀んできた。淀君だけに。

草刈正雄の真田昌幸は仕事をgeo16010405040007-p10せず、女遊びに逃げる。秀吉は老いて、不機嫌に理不尽を周囲に迫る。静かで不気味な日常がこの数回の真田丸を支配している。

このドラマの停滞は、しかし、世代交代を描写するために、必要な時期であろう。

まもなく秀吉は死に、家康がその後を狙い、真田幸村が短い人生を華々しく散らせる時代が来るのだ。

世代は、どんどん変わっていく。無常だ。

私達の美術業界も、この10年で、まるで様変わりしてしまった。

世の中の興味に照らしていえば、やってきて去りつつある中国ブーム、やってきて覚めることがないのかもしれない現代アートの潮流だが、もっと大きなことは世代交代だ。

かつて美術業界をせっけんしていた三大画商の方々は鬼籍に入った。私の父も亡くなったが、同世代の画商の方がほとんど姿を消してしまった。業界を強くドライブする強烈なキャラクターの方は、いない。

家康、秀忠亡きあとの江戸時代のようなものと、あえてドラマの時代になぞらえていえば、いえるかもしれない。ちょっと違うけど。でも、本当に、驚くほど変わってしまった。そして今、実はこの世界を牽引しているのは、若い力である。40代、50代のエネルギーが、強い。

父が77で亡くなり、自分も残り時間を常に意識するようになった。焦ることはないが、人生の時間は限られている。美術業界の未来は暗いのか明るいのか、誰にもわからない。日本の未来も世界の未来も明るいのか暗いのか、誰にもわからない。しかし、未来は来る。関わる人が「幸福」になれるような仕事を考えて、実行していきたい。

真田丸も、きっとこれから堺雅人のエネルギーが爆発するのだろう。淀君や家康、石田三成との因縁も、また大団円を迎えるに違いない。義経と同様、彼は悲劇のヒーローであることは史実が示している。しかし義経と違うのは、最後まで家族愛を守り守られて生きたことだ。期待したい。

 

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